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2007年2月27日 (火)

【書評】イスラームの心

兵庫のジュンク堂で購入。
空港でのながーい待ち時間+機内でのひとときで読めてしまった。
表現は簡潔でも,内容の濃い本です。

Book イスラームの心

著者:黒田 寿郎
販売元:中央公論新社
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この本に一貫して繰り返し繰り返し書かれているように,私達は世界人口の20%を占めるこのイスラームという信仰について,あまりにも知らなさ過ぎる。それは時として,その信徒の暮らす国々の貧しさ,欧米的価値観と相容れない政治体制,そして一部の急進的な過激派の所業を通してしか,この宗教のプレゼンスを目にすることがないために,その誤解は今もって甚だしいものとなってしまっている。

早いうちに補足すべきことと思われるが,この本が書かれたのはイラン・イスラム革命が起こった直後の1980年。丁度,大橋巨泉が「世界まるごとハウマッチ」のオープニングジョークのコーナーで,「後継者はホメイニ(おめえに)決めた」という極寒のギャグを飛ばしている頃である。
巨泉氏の冗談の出来はともかくとして,イスラームという宗教の持つポテンシャルが今まさに花開こうとする期待に満ちた空気の中,著者の筆致も熱気に富んでいるが,この革命で震え上がったアメリカ他,欧米諸国による,陰に陽に加えられる妨害と,イスラーム信仰者自らの失敗の数々により,彼らの潜在能力は今もって潜在能力のままであり,911を例に出すまでもなく,絶望的なまでに進行してしまったイスラーム共同体の破壊と欧米との経済,文化の格差拡大を,果たして克服する道はこの宗教に残されているのか,これはぜひ著者の本をさらに読み込んで道を探したいと思う。

本書に話を戻すが,イスラム教に対する数々の偏見への徹底的な反論に始まって,その教義の基礎,信仰の実態,ムハンマドを開祖とするイスラム信仰者達の歴史,イスラーム文化の絶頂時代,欧米文明との相克,現代的価値観との違いとその秘めた可能性と,手取り足取りという言葉にふさわしい懇切丁寧な解説が,まさにイスラームの心を体現しているといって差し支えないではないか。

それにしても,開祖たるムハンマド死後のカリフ(指導者)の座をめぐる争いと,ウンマ(信仰者の組織)の迷走ぶりが,実に同情を禁じえない。
また,信仰者は自身の信仰を深めるとともに,同時に社会生活,世法の上でも十分に活躍すべきとの高邁な思想に基づき,聖職者の存在を認めず,政教一致の政治体制を敷くことになっているわけだが,同時にこれがイスラーム社会のアキレス腱でもあるわけで,殉教とはなにも自爆テロではなく日々刻々の生活における,克己的生活にあるわけだが,水は低きに流れるの言葉とおり,聖職者という地位が生まれそれはいつしか堕落し,その弱さが共同体を破滅に導いていってしまう悲しさは,歴史のそこかしこに見られる人間の性である。
ではどうしたらこの業を克服できるのだろうか。正しき信仰どこにありや,の感慨を深める次第である。

まとまりのないことを書いてしまったが,我々にとっても,もって他山の石とすべき教訓であろう。

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