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2008年5月16日 (金)

悪い冗談としか思えない

毎日新聞:介護保険制度:給付抑制案 「軽度は対象外」「自己負担2割に」--財政審提示

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は13日の会合で、給付が急増する介護保険制度の抜本的見直しを6月にまとめる意見書(建議)で提言する方針で一致した。同審議会の西室泰三会長は会合後「建議には明確に書き込む」と語った。

 財務省は同日の会合に、介護保険見直しの三つの試算を提示した。ドイツにならい、軽度の要介護者を保険制度の対象から外せば、給付費を年間2兆900億円抑制できると指摘。一方で、軽度の要介護者の自己負担を現行の1割から2割に引き上げた場合には、年間の給付費を2300億円抑制することが可能とした。

 08年度の介護給付費は6兆6559億円(当初予算ベース)。このうち5割を40歳以上の被保険者が負担。残りの5割を国と地方の負担で賄っている。高齢化の進展に伴い、給付費が毎年数千億円規模で膨らむことが見込まれており、3年に1度の保険料の見直し時期となる09年度は大幅アップが必至の情勢だ。【清水憲司】

今テレビのニュースで舛添大臣も、これは問題外の案だとして一顧だにしていなかったが、妥当な判断だと思う。私もこんな政策冗談としか思えない。

この方針が実現されれば、要介護度の重度な利用者のほうが、介護サービスを「お得に」使えることになり、ますます要介護度を高くしようとするインセンティブが働いてしまう。

何度も同じことを言っているようだが、要介護度は数字が高いほど重度になり、要介護4-5ともなると、在宅での生活は極めて過酷になり、何より本人のADL(日常生活自立度)が低下し、介護地獄の言葉にみられるように家族にも過度の負担がかかるようになる。

何も知らない利用者が、そんな状態に望んで進んでいこうとする姿は、本当に地獄と言うしかない。
笑うに笑えないのだ。

そういえばこんなニュースもあった。

介護休暇訴訟 被告の県側争う姿勢 鹿児島地裁第1回弁論「異動強要してない」

 中学校に勤務する50歳代の長男が申請した介護休暇が認められず、自身の病状が悪化したとして、鹿児島市内の女性(84)が県に1000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、鹿児島地裁(玉本恵美子裁判官)で開かれた。県側は「休暇申請の拒否と病状の悪化に因果関係はない」と反論する答弁書を陳述、棄却を求め全面的に争う姿勢を示した。

 訴状によると、女性は2004年8月に脳卒中で倒れ要介護4と判定された。中学教諭の長男は、介護休暇を繰り返し申請したが拒否され、鹿児島市内から離島に異動を強要された。長男は転勤に応じ、女性は長女に預けられたが、環境の違いなどで病状が悪化。要介護度も5になった。申請拒否は育児・介護休業法違反に当たると訴えている。県側は答弁書で「異動の強要はしていない」と主張した。

=2008/05/10付 西日本新聞朝刊=

地元鹿児島だが、この裁判は非常に注目している。
要介護度の悪化(4→5)が、裁判所で「不利益」と認められるかどうかも大きな争点だからだ。
介護サービスの利用限度額が増加するのと引き換えに、介護サービス単価が増額され、利用者本人のADLが悪化することを明確に不利益と定義できれば、介護に関係する政策でも悪化予防の具体的な動きがでてきそうだ。

何にせよ、現状の制度では利用者、ケアマネジャー、事業者に要介護度を改善することについてのプラスのインセンティブが全くない。
泣きを見るのは市町村、そして保険料という形で負担が跳ね返ってくる当の高齢者だ。

いっそケアマネジャーに報奨金を導入してしまってもいい。
何らかの形で改善することについてプラス方向のインセンティブを与える政策が必要だ。

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