2009年7月 2日 (木)

最近の読書

とりあえずcrossreviewに投稿したものを転載っと。

白川静 漢字の世界観 (平凡社新書) Book 白川静 漢字の世界観 (平凡社新書)

著者:松岡 正剛
販売元:平凡社
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6点

      

実は7割ぐらいまで進んで読むのが止まってしまった。 コードとしての文字と、呪術的機能を宿した文字とダブルの世界観に戸惑う。果たして一度成立した文字から真正な由来というのは、本当に特定できるものなのか?


組織を変える「仕掛け」 (光文社新書) Book 組織を変える「仕掛け」 (光文社新書)

著者:高間邦男
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認す

 

      

7点

硬直した組織をストレッチするためのアプローチがたくさん。 機会があればいろいろな組織に応用できるかも。 ちょっぴりスピリチュアルな部分もあったり。


相続はおそろしい (幻冬舎新書) Book 相続はおそろしい (幻冬舎新書)

著者:平林 亮子
販売元:幻冬舎
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8点

      

購入直後にMJ氏の死去の報。なんとタイムリーな。 実例に基づいた生々しい相続トラブル集。これから団塊世代が凄いことになるのが手に取るよう。 もっと死について真剣に考えるべき。便利なワークシート付き。


レアメタル超入門 (幻冬舎新書) Book レアメタル超入門 (幻冬舎新書)

著者:中村 繁夫
販売元:幻冬舎
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 8点

ジェットコースター化しつつある世界経済のさらに先をいく世界の資源市場。 中国が世界中の鉱山を買いあさっているように、もはや安全保障上の問題。 人によって相性の合う素材があるというフレーズが味わい深い。


文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画 Book 文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画

著者:深見 嘉明
販売元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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7点

さくっと読んで、少しずつ実践中。 だけどどうしてもFirefoxのアドオンを導入するところまでで、本書の示すように大量のweb情報を処理できるまでには至っていない。精進が足りないのか。

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2009年3月26日 (木)

【読書】脱税のススメ

脱税のススメ -改訂版- Book 脱税のススメ -改訂版-

著者:大村 大次郎
販売元:彩図社
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新しい部署が税金関係なので参考までにと購入。
私の担当は市税だけど、こっちはほぼ100%国税。
私の本選びのボケぶりはともかく、中身は決してタイトル負けしていない濃い内容。

Images
領収書を切らずに売り上げをポケットに入れる(チャップリン「独裁者」より)みたいな微笑ましい?手口から、タックスヘイブンを駆使したグレーゾーンギリギリの華麗な脱税の手口、ライブドア事件等の最新情報までを網羅しており、読むだけでも楽しめる。

単なる犯罪ドキュメントにとどまらないのも本書の優れたところで、丁度麻雀の捨て牌を見れば手の内が分かるように、具体的な抜け道を示すことで、日本の税制の不備も指摘している。

サラリーマンの大部分は天引きで知らぬ間に税金を取られ、方や自営業者の所得は把握しずらくグレーな部分が多くても放置されたままが多い。と、全体的に日本は税制後進国であり問題点が非常に多いという指摘には非常に説得力がある。

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2009年3月11日 (水)

【読書】池田大作の事

池田大作の事 Book 池田大作の事

著者:千葉 隆
販売元:飛鳥新社
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ちょっと紛らわしいタイトルだが、ようするに「事」とは池田先生の事実、実践のこと(261p)。
学会批判本かと買って読んでしまった方、残念でした。お察し申し上げます。
私も最初はその手の本かと思ったが、何かピンと来るものがあったのでパラパラとめくって、レジへ直行した。

それはともかく、いち学会員として(それも大会社の元社長さんらしい)先生や組織と向き合い、体験してきた実像を、ことさらに意地悪な質問に対して対話形式で語っていく。

なにより一個人として名を出して演繹的、具体的に述べている点が、従前の学会本と一味違うな、という感じがした。

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2008年7月13日 (日)

【crossreview】力士の世界

力士の世界 (文春新書 603) (文春新書 603) Book 力士の世界 (文春新書 603) (文春新書 603)

著者:33代木村庄之助
販売元:文藝春秋
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8点

行司という立場から長年携わってきた相撲界の現在を語る。独特のしきたりの数々も興味深いが、師弟関係の大切さ、一門の絆、地道な稽古の積み重ねがどんな手段より強い関取を作るという力強いメッセージを感じた。

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2008年7月 9日 (水)

【crossreview】高校野球「裏」ビジネス

高校野球「裏」ビジネス (ちくま新書 711) Book 高校野球「裏」ビジネス (ちくま新書 711)

著者:軍司 貞則
販売元:筑摩書房
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高校野球の諸問題について、毎年のようにマスコミで取り上げられては立ち消えになってしまう。野球はいまや学校の生存競争の上で欠かせないツールとなっているにも関わらず、相変わらずのタテ社会から抜け出せない。

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【crossreview】賭ける魂

賭ける魂 (講談社現代新書 1942) (講談社現代新書 1942) Book 賭ける魂 (講談社現代新書 1942) (講談社現代新書 1942)

著者:植島 啓司
販売元:講談社
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人は何故賭けるのか。不確実な未来を信じることから人生そのものが見える。 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。一か八かに賭けるスリルを通して生きる喜び、人生の意味まで視野に収めたスリリングな論が展開される。

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2008年6月 2日 (月)

【読書】科学する麻雀

科学する麻雀 Book 科学する麻雀

著者:とつげき東北
販売元:講談社
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たしか1年弱前に買ったような気がするけど、先週の週刊アスキーに載っていたり、書評ブログやはてブで見かけたりもして思いもよらぬリバイバルの様子。

有名な "情報考学 Passion for the future" さんでも取り上げられています

一読して衝撃を受けた。
東風荘の実戦データから導き出された冷徹な麻雀の真実。
今までの文学的麻雀論を完膚なきまでに破折し、今示せる明確な「麻雀の答え」を出すことに成功している。

詳しい理論については買って読んでほしいというのが正直なところで、後半になるとじゃんじゃん数式も出てくるので、私の数学の知識ではお手上げというか説明しようもない所もあるけど、その辺は流して読んでも十分理解できる。
とりあえず、

・先制リーチは圧倒的に有利
・手変わりを待つな
・裏筋ソバ牌は危険はウソ
・当たり牌は読むだけ無駄
・数理的検証もせずに流れとか語るな

という刺激的な答えが、数理的に明確に示されているのだ。

相手の表情読みや三味線の通用しないネット麻雀では絶大な効果を発揮するだろう。
この理論を皆知っているという前提で打つとどうなるのか、麻雀というゲームそのものの変容を預言した書といえるかもしれない。

私はというと、ネット麻雀もリアルで対面式の麻雀もどちらも大好き。
あと、麻雀はツキがない時にどう打ちまわすかが楽しいんだよなあ。
勢いのある相手の打ち気をそいで、流局に持って行くのが好きです。
弱気ですね。ええ弱気ですとも。

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2008年6月 1日 (日)

【読書】累犯障害者

創価王道さんの紹介で購入。

累犯障害者 Book 累犯障害者

著者:山本 譲司
販売元:新潮社
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重い、とにかく重い、どうしようもない現実が目の前に繰り広げられる。
我々が今すべきことは、とにかくこの本を読んで、現実の一端でも知ること。

話せること、聞こえることが人間にとって当然の機能だという浅はかな思い込み。
自分と同じ国に住みながら、互いの存在を感じようとしない心の貧しさ。
残酷なまでの無関心。

そんな社会が、繰り返し刑務所に入り、社会の底辺から決して這い上がることのできない障害者達を作り上げている。

そんな始まりも終わりもない絶望のループからどうやって障害者達を救えばいいのか。

日本の制度的にもおかしいところは非常に多い。
かつて民主党の議員として国会に送られ、後に服役して受刑者となった著者からしか見えない視点が新鮮で非常に納得できる。

繰り返しになるが、この現実を知らずして、福祉も、政治も、刑罰も決して語ってはならない。

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2008年5月 4日 (日)

温泉とグラミンフォン(一応書評)

昼から近郊の温泉場へ。
ゴールデンウィークであったが、予想どおり、普段に少し毛が生えた程度の人出。
鄙びきって相当に年季の入った旅館の、部屋全体が気持ち奥のほうに傾いている部屋に、昼1時に入り、お弁当食べて温泉に入り、本を読み、テレビつけず(携帯は圏外)、ラジオ聞かず(電波届かない)、温泉に入り、本を読み、昼寝し、温泉に(ry

ヨメさんと2人で6時ごろまで滞在して、おばあちゃんに2000円を払う。
領収書は出ない。
正直異常な安さだと思う。もはや不当利得の世界。

以前もブログにちらっと書いたと思うけど、再加熱する必要のない十分に高熱の源泉が近くからそのまま湯船に流れ込み、贅沢にもかけ流しされている。
しかも、そこそこの広さの温泉が貸し切り状態。
なんと贅沢な。

そういえば何かの本で、日本のレジャー産業は温泉のせいでダメになったと読んだことがある。
確かにこれほどクオリティの高い温泉があれば、何も無理してラスベガスのように頭をひねって娯楽を考えないで済むもの。
旅館を建て、風呂を用意していれば自然に客が訪れる。
別に温泉地で商売している皆様が努力を怠っているとは言わないけど、このレベルの娯楽をこの価格で享受できるというのがどうにも不自然で頭を抱えてしまった。どう考えても7000円ぐらいはかかるような気がしてならない。払わない分のお金はどこに行ってしまうのだろう。

そんな中読んだ本が、バングラデシュで携帯電話事業を成功させた、グラミンフォンの話。

グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ] Book グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]

著者:ニコラス サリバン
販売元:英治出版
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バングラデシュという国は、本来平地がちで土壌も肥沃な上、国民も勤勉に努力する、豊かになる可能性を十分に秘めた国であるはずだった。

そんな国が長年世界の貧困国の筆頭にあげられ、世界から忘れ去られたままでいたのだが、情熱に満ちた起業家が携帯電話ビジネスを立ち上げ、ピラミッドの底辺にいる人々に携帯電話という情報交換ツールを持たせ、面白いように生産性を上げ、貧困脱出の糸口を作り上げた物語で、今の世界に起こっている貧困克服の動きや、有名なグラミン銀行の仕組みも理解でき、また単純にビジネスの成功譚としても痛快に楽しむことができる。

ありきたりな言い方になるが、人間一人ひとりの可能性というものについて希望に満ちた前向きなエネルギーを感じることができた。

1日の所得が数ドルという貧困国と日本とでは、携帯電話が及ぼす意味合いやインパクトといったものはもちろん大きく違ってくるが、「つながることが生産性である」という信念を実行に移したそのエネルギーを、どうやって価値創造につなげられるか、ゆっくりと熱く考えてみたい。温泉だけに。

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2008年5月 2日 (金)

【書評】オタクはすでに死んでいる

オタクはすでに死んでいる (新潮新書 258) Book オタクはすでに死んでいる (新潮新書 258)

著者:岡田斗司夫
販売元:新潮社
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仕事から帰宅すると届いていたので、ジムに行く前に読了。

ジムではステップエクササイズに参加していたけど、
この本のことを考えていまいち集中できなかったw

で、終了後ヨメさんに岡田斗司夫のことを話すと、
『え、岡田斗司夫死んだの?』と藪からスティックな答えが。
でも、あ、そうか、これはオタクという共同幻想が消滅したという話である前に、一人の個人としてのオタクがいかに死を迎えるか、何を遺すかというテーマが隠されているんだなと得心した。

かつては抑圧され、社会から疎外され隔離されていたオタク達。
些細な違いを超えて、オタクという共通項、絆で分かりあえていたオタク達。
SF小説を1000冊読み、愚昧な世間の名声に背を向けて刻苦勉励し、やがてオタクの道を究めんとしていた。
少数派であることが、貴族(生まれ)あるいはエリート(実力)としてのアイデンティティの裏づけであると理解していた。
でも気がついてみたら、日本ではオタク以外全部が沈没してしまい、ATフィールドのあっち側とこっち側が反転するように自分の立場がわからなくなって、こうもりさんのように考え込んじゃってるんだね。

・・・なんか学会員みたいで、分からんでもない。

いちおう私なりに、この状況の突破口を考えないわけでもない。
とりあえず『死』という概念、臨終正念というか。
あと『師弟』。ベタだけどこれがないと出口はないですよ。

岡田氏も、オタクのエバンジェリストとしての立場を降りるべきかどうか迷っているらしい。
本書で一応退任宣言?も出している。
でもやっぱりロールモデルとしての岡田斗司夫は、降りないで欲しいなあ。

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2008年2月20日 (水)

ある意味,患者側からの言い分 - 【書評】「痴呆老人」は何を見ているか

正直,期待していた内容とは全然違っていたのだけど,こういう視点もあるのだなと一応心に留めておこうと思った。

「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書 248) Book 「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書 248)

著者:大井 玄
販売元:新潮社
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ちなみに目次は以下のとおり。
大雑把な感想ではあるが,認知症の発症機序や予防法,患者の側からの言い分等を詳説したものではなく,痴呆を軸として筆者の心の赴くままに,ブッシュ政権から日本人論に至るまでの様々な観念論を披瀝した本であった。

はじめに
第一章 わたしと認知症
なぜ怖がられるのか/ぼけと「痴呆」/佐久平での宅診/急性抑うつ反応/「申し訳なさ」と癒し/精神症状と人間関係
第二章 「痴呆」と文化差
異質なものへのラベル/沖縄の「純粋痴呆」/世間的イメージの誤解/「一水四見」という文化差/「生かされる」と「生かされている」だけ/アメリカ人にとっての自立性喪失
第三章 コミュニケーションという方法論
ゲラダヒヒの平和社会/偽会話となじみの仲間/「理解する」は大事ではない/笑顔はなぜ大切か/ブッシュ大統領の「痴呆老人」的反応/個人史をたずねる/体の位置と敬語/相手の世界へのパスワード
第四章 環境と認識をめぐって
彼らの原則/環境と環境世界/見ているもの、ではなく、見たいもの/コトバで世界を形成している/最小苦痛の原則/「思いこみ」を支える深層意識/思いが生む虚構現実/現実を構成する経験/現実は「事物」でなく「意味」/外向きの世界仮構
第五章 「私」とは何か
二つの「私」/《Me》と「Mine」/《私》と目先の利益/がん患者と無常の自覚/「私」を統合する/自己とは記憶である/「つながり」への情動/『蜘蛛の糸』の不安/ほどけていく「私」
第六章 「私」の人格
相手の数だけ人格がある/『24人のビリー・ミリガン』/社会病理を映す多重人格/生きるための言語ゲーム/若返り現象/住みやすい過去へ/暴流のようなエネルギー/「いのちが私をしている」/実体的自我は存在しない
第七章 現代の社会と生存戦略
生命と年齢の関数/長く伸びたグレイゾーン/上手なつながり/「病気」の増殖/苦痛を病気化してしまう /自由と不安/言語習得の心理ステップ/日本特有のひきこもり/失神するほどの無力感/自分vs.世界/自立とつながりの自己/甘える理由/生存戦略の大 転換のなかで/キレる理由/自立社会の呻き声
最終章 日本人の「私」
つながりの心性/班田収授の精神/江戸の循環型社会/強権と個人的自由/心と私心/「自己卑下」と先祖の智恵
参考文献・註記

おわりに

そして,帯に書かれたフレーズがこの本の方向性を良くも悪くも決定づけている。

われわれは皆,程度の異なる「痴呆」である。

この本の筆者が今日使われている「認知症」という言葉に違和感を感じ,差別意識を隠蔽するものだと非難する理由は理解できるが,人間の精神的機能を完全に失うものとして捉え,あらゆる痴呆症状をひっくるめていきなり同一のものとしてとらえてしまうのはやはり違和感を感じる。
これはこれで,痴呆の恐怖を間近に感じる世代の感覚としては妥当なものかもしれないが,現実に私が介護保険の申請受付の窓口において目の当たりにしている認知症患者は,今まさに適切な診断と処置を提供することで症状の進行が阻止できるか,あるいは重度化するかの瀬戸際にいる人々であって,筆者が言うように,直ちに延命措置を拒否して白旗をあげるような絶望的な状況に至るまでにはまだ早いのではないか。
東大医学部教授の先生に向かってこういう言い方をするのも何だが,今まさに認知症のフロントラインにいる人々にとっては全く役に立たない(そもそも役立てようという目的で書かれた本ではたぶんない)話の数々であることだけは断言していいと思う。

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2008年2月11日 (月)

【書評】世界一愚かなお金持ち,日本人

書店で見かけて購入。
タイトルが割りと挑発的なので最初どうかな,と思ったが,仰ることは実にしっかりしていて好感が持てた。
うちのヨメさんに昨日見せたら,1時間ちょっとで読めていたので,どなたでも気楽に読めるはず。ぜひおすすめしたい。

世界一愚かなお金持ち、日本人 Book 世界一愚かなお金持ち、日本人

著者:マダム・ホー
販売元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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マダム・ホーさんという方を実は存じ上げなかったのだけど,ディスカバーのページからプロフィールを引用させてもらうと,

【マダム・ホー氏プロフィール】
100の不動産を持つアメリカ在住の投資家。

神戸のインターナショナルスクールを経て16歳で私費留学生として単身渡米。名門私立校南カリフォルニア大学(USC)及びUCLA両大学院修了。

インドネシア出身の華僑、ダニエル・ホーと結婚後、20代で最初の1億をつくる。
20代から医学・金融専門の一流同時通訳として、常に世界 のVIPや成功者と接し、年間10万マイル以上国際線に乗る生活をしている。ロサンジェルス、ハワイ、香港、ジャカルタ、パリでの海外在住経験によるグ ローバルなお金哲学と投資経験を持つ一方で、日本の茶道(裏千家準教授)から中国の論語、人相学、風水学もたしなむ真の国際派ミリオネア。

上昇志向がある若者を支援するNPO設立と、亡くなった母の名前でのホスピス建設を志し、日本で著述・セミナー活動を展開している。

しかも,本書内では若かりし頃,コーラも買えないほどの苦労をしておられるとのこと。
お金が無くても相手を信頼しあえる夫婦の絆が非常にイイ話だった。

他にも大事な話がコンパクトにまとめられているので分かりやすい。
ここではメモ代わりに列記してみる。

・1億円作るのにアメリカ人は7年,日本人は1440年!
・不動産は1にも2にも3にもロケーション
・日本の政治家は「ウラ金」で儲け,英米の政治家は「不動産」で儲ける
・信用形成は,アメリカ人はクレジットの返済履歴,日本人はコネとキャッシュ,中国人は人相(!)で判断する。

各国で税制や社会常識が違うので,誰でも著者のように不動産投資で儲かると言えるわけではないけど参考になるのではないか。

特に最後の項目,現代の経済において事実上最大のリソースとなっている信用(credit)をどう形成するかという点が実に興味深かった。

社会体制が不安定で,為政者すら明日の立場は分からない,中国をはじめとするアジア大陸の国々においては,その人が間違いなくお金を返せるか,ビジネスパートナーとして大丈夫かというのを人相を見て判断するという。
人は自分自身の身体から逃げられない上に,三つ子の魂百までと言うように,幼少のころから嘘をつかず生きてきたか,約束をきちんと守ってきたか,人を裏切らないか,生き様が顔に出てくるのだという。
本当に最後の最後にものを言うのは,一日一日積み上げてきた生き様なのだ。

この本に関する他の書評もあわせてお読みくださいませ。

俺と100冊の成功本 - 世界一愚かなお金持ち,日本人

「ビジネス・ブック・マラソン」バックナンバーズ - 『世界一愚かなお金持ち,日本人』マダム・ホー著

A-style - 2008.1.18『世界一愚かなお金持ち、日本人』

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2007年12月12日 (水)

【書評】お金は銀行に預けるな

弾さんのブログから購入。素晴らしいので読みましょう。

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)Bookお金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)


著者:勝間 和代

販売元:光文社
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邱永漢さんの御指南を頼りに2年ほどまえ40万で中国株を買って,1年したら倍になったので一番上がっている株を残して半額売って元手を取り戻したら,直後に暴落が起こって見事売り抜けた私がきましたよ。
本書に載っていた一般的な株式のリスクと利回りを見た上で,まあ私みたいなケースが稀もまれでフロックに違いないことはこの本を読まなくても分かりそうなもので,間違っても強気になって中国株を買い増すことはないわけですが,一応財務の功徳ということでありがたく液晶テレビを買わせていただいた次第でありまして,安全な資産の運用というものがいかなるものであるか本書を読んでよく分かりました。

ところで,貯金の安全な持ち方についてヨメさんにインタビューしてみたところ,

「甕に入れて床下に隠す」がガチでおすすめとのことでした。

・・・うちは借家なので床板を剥がすのだけは勘弁していただきたい。

さらに「忘れていて後で掘り返すと見つかったときにうれしい」

いや,ひょっとしたら最近流行りの埋蔵金ネタに絡めているかもしれないので迂闊につっこんだら孔明の罠に引っかかってしまう恐れがあり油断がなりません。

その辺もふまえて本書に一つ注文。
193ページの投資原資の生み出し方に,

0,自分の資産を正確に把握する
を付け加えた方がいいと思います。

何にせよ,銀行に預けても床下預金に勝るとも劣らない低い利息しか貰えないのは確か。
このまえテレビで竹中さんが言ってたけど,基本的に世界経済は全体で年3-4%ずつ成長するのは自然で当たり前なことです。
何のリスクもない(はずの)銀行預金の利息がソレを下回るということは,その分不当に銀行に奪われているということに他ならない。日本人はあまりにも資本主義の原理原則について無自覚,つうか意欲がない,つうか教育不足。建前の資本主義,本音の社会主義というだけのことはある。
それに加えて,私の身の回りには安直に家を買って住宅ローンを組んで,さらに適当な生保に入って毎月支払いダブルパンチで首が回らなくなっている人が多いのはたしか。
私自身正直,この地元にいまさら家を建てるのだけは,いや100歩譲って住宅ローンだけは断固拒否し続けているのだが(親とか周囲とか結構(執拗に)勧めてくる)私のスタンスは正しかったんだなあと実感した。
高度成長期のインフレで借金の実質残高がみるみる減っていったあの頃の社会ならいざ知らず,人様から金を借りると何もしなくても自然にふくらんでいってしまうのが今のデフレという社会。
それが怖くてなるべく無借金で行っている。
私が負ってる借金といえるものは日本育英会だけです。
まあ適度な借金の返済が労働に打ち込めるモチベーションになる場合もあるけど。

投資に関する考え方はいろいろあると思うけど,世の中には事業をするためにお金を集めたいという人はたくさんいますよ。そういう人に対して適切なリスクを取ってお金を融通するのが金融。先日NHKでやってたヤクザマネーもそうだけど,社会の血液であるところのお金が上手く流れないと淀んで腐っていくし,不当な利益を上げようとする動きが生まれてくる。
なにより世界中に資金需要があるとして,すでに資本家の立場である日本のマネーが適切に世界に出て仕事をしないようでは世界中が血行不良になる。何も自分一人の欲のためでなく,世の中のためになるお金の活かし方を身につけるために,今からでも遅くない,一度本書を手にとってみては。

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2007年10月 8日 (月)

【書評】ニセモノはなぜ,人を騙すのか?

阿蘇行きのバスの中で読んだ4冊の中でベストはコレでした。
実にいい仕事をされておられます。

ニセモノはなぜ、人を騙すのか? (角川oneテーマ21 C 135) (新書)

今回はアフィリなし。 
なんかアマゾンで報酬対象外と出てますな。

せっかくなのでbk1にもリンク貼っときます。

骨董に限った話ではなく,今の時代は情報,人間そして思想などあらゆるマテリアルのホンモノ/ニセモノを見抜く目が,一人一人に求められる時代。決して遠い世界の話ではない。
ではどうやればホンモノを見抜く目を身につけられるのか。

続きを読む "【書評】ニセモノはなぜ,人を騙すのか?"

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2007年9月30日 (日)

最近の読書

そういえば最近読書記録を書いてなかったのでお蔵出し。

まずはこれ。

日本人とユダヤ人 (角川oneテーマ21 (A-32)) Book 日本人とユダヤ人 (角川oneテーマ21 (A-32))

著者:山本 七平
販売元:角川書店
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他の新書と並べて読んでもその筆力というか,パワーの違いがはっきりと分かる。
イザヤ・ベンダサンこと山本七平氏については,いろいろな毀誉褒貶があるみたいだけど→wikipedia:山本七平,明晰な論理,切れ味鋭い文章から,氏について何の知識もなくても,ただ読むだけでタダモノでないことが思い知れる恐ろしい本。最初は覆面だったらしいですね。
何にせよこれは一度は読んどくべきであるよ。と強くオススメ。

これもしばらく前に読んだけど,あわせて買いたいということで↓

日本人と組織 Book 日本人と組織

著者:山本 七平
販売元:角川書店
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西洋人には神がいるけど,日本人には「枠」があるんだよ,と。

あとエアロバイクを漕ぎながら読んだ本として:

未来を予測する技術 [ソフトバンク新書] (ソフトバンク新書 46) Book 未来を予測する技術 [ソフトバンク新書] (ソフトバンク新書 46)

著者:佐藤 哲也
販売元:ソフトバンククリエイティブ
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コンピュータシミュレーションのそもそも論から始まって,地球シミュレータの詳細な構造やこれまでにチャレンジした問題など,スーパーコンピュータが動いているのが手に取れるように細密に描写されていて非常に楽しい。

金融マーケティングとは何か これがプロの戦略だ! [ソフトバンク新書] Book 金融マーケティングとは何か これがプロの戦略だ! [ソフトバンク新書]

著者:広瀬 康令
販売元:ソフトバンククリエイティブ
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金融業界が劇的に変化する1990年から2004年にかけて,シティバンク,フィデリティ投信,チューリッヒ保険と勤め,ATM無料化など次々と斬新なサービスを打ち出した経緯と,その背景のストラテジーまで明確に書いてあって,サービスとは何かについて非常に参考になります。

あとこれはこの前も書いたけど再掲載。

大帝没後―大正という時代を考える (新潮新書 221) Book 大帝没後―大正という時代を考える (新潮新書 221)

著者:長山 靖生
販売元:新潮社
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著者の指摘どおり,大正という時代と平成という時代は相似性が非常に強いのでドキッとさせられる。
明治天皇の崩御と乃木大将の殉死,そしてその後日談を縦糸に,また夏目漱石,芥川龍之介,江戸川乱歩の文学とそれを読む青年達の姿を横糸に,大正という「青年時代の日本」の姿をスリリングに描いている。絶望先生が流行るのもそのへんの空気があるんではないのか。

まだ何冊かあるけど大体こんな感じですな。

すりはんどく日誌:遠藤周作との対談

戸田先生は、読書を通じて青年を育成する「水滸会」の教材として、
ホール・ケインの『永遠の都』をチョイスしました。
一人の熱烈なキリスト教徒が、聖書の精神を社会に反映させるべく、
フランスで革命を起こし、フランスを社会主義国に生まれ変わらせるまでを描いた物語です。
今でも『永遠の都』は青年部の必読書となっています。
漫画化もされたし。

池田先生が会員に幅広い分野の「読書」を勧めているのは、
会員の思想を偏らせないための施策のひとつです。

常日頃からの男子部はもっと本を読め,との指導どおりに読書量を増やしていこうと思いますよ。

ただどうも政局が不透明なせいか,会合が増えてきてどうもなあ,という感じ。

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2007年9月13日 (木)

早くも後任者問題ですか

帰り道の書店で2列平積みになってて少しわろた。
あとアニメ関連株が高騰してるとか。いやはやローゼン閣下。

とてつもない日本 Book とてつもない日本

著者:麻生 太郎
販売元:新潮社
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「日本の伸ばすべきところ」をまんべんなくピックアップしていて,筆調は全体的にポジティブです。
まあ内容的に好感を持ってもいいのでは。

ただまあ,今からこの人が総理となると。うーん。

まずは事態の収拾をはかる能力を持った人間がいいのでないかな。
どうやっても長期政権にはならない感じだし。
調整能力,といったら日本ではネガティブなイメージだけど。
私的には福田さんとか。

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2007年8月28日 (火)

【書評】ゲームニクスとは何か

ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則 (幻冬舎新書 さ 3-1)


買ったきっかけ:
書店で見かけて購入

ココログの新機能みたいなのでさっそく使ってみまs

感想:
・日本のゲームが何故世界中で通用する商品となったか
・人々は何故ゲームに夢中になるのか
・ゲームの可能性を色々は分野に応用可能である

これらの内容を明快に,簡潔にまとめてあります。分量的に薄いほうで,ゲーム関係の事情に詳しい方なら15分ほどで読み終わるのではないでしょうか。
現在の情報環境において一番の問題は,爆発的に増加するコンテンツを効率的にナビゲートすることであり,そのためのUIの進化が現在決定的に遅れており,そこに日本人が長年培ってきたゲーム的インターフェースのノウハウが活躍する場が十分にある。
また,欧米のソフトハウスも日本のゲームニクス(人を惹きつけるUI)を研究して体系化を進めており,日本の職人的なものづくりが知識の共有化を妨げ,UIの進化を妨げてしまうのではないかと憂慮している。
いずれにせよ,ヒットする商品に優れたUIとナビゲーションは不可欠であり,本当にいいものも伝わらなければ意味がない。

おすすめポイント:
本文から引用:
・『気づいている人は少ないかもしれませんが,テレビゲームというのは「プレイヤーを褒めるメディア」なのです』(151P)
・『しかし,ここで重要なのは,どれほどすばらしい検索アルゴリズムを開発し,ユーザーの行動履歴を分析して,情報マッチングを行う”環境”などを整備したとしても,最終的に重要なのはユーザー・インターフェイスだということです。』(184P)
・68〜69ページのゲームニクス理論の全体像は,なかなか示唆に富んだ内容です。

これを機にユーザーインターフェイスに関する知見が広まっていくことを期待します。


ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則 (幻冬舎新書 さ 3-1)


著者:サイトウ アキヒロ




ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則 (幻冬舎新書 さ 3-1)

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2007年7月 2日 (月)

【書評】2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?

ひろゆき答えて曰く,2ちゃんねるはインターネットのアルファにしてオメガなるが故なり。

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? Book 2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?

著者:西村 博之
販売元:扶桑社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

仕事帰りに届いていたのでさっそく読んでみました。鹿児島最速書評かもw
流し読みなのですが,もっとじっくり読んで見たい,というか,この人(ひろゆき氏)の頭の中を覗かずにはいられない,非常に魅力的な人物であることに間違いないです。

2ちゃんねるを潰しても,日本という国の総意として,その代わりとなる物が必ず立ち上ってくる。ならば潰すより放置,コントロールできるひろゆきというターゲットが特定できる今の状態がベストであり,故につぶれない。見事なロジック。

今をときめくWeb 2.0というトレンドも,バッサバッサと斬り捨てていく。なにせ2ちゃんねるこそがインターネットの本性をむきだしにした最終形であるからして,その後いかなるサービスが出てこようとも,何かしらネットの特性をオミットしたものであり,組み換えや模倣に満ちたプロダクトを如何に新奇でステキなものに見せて株式を店頭公開しようとしたって客はだませねえぜ,という身もフタもない結論が実に気持ちいいw

かく言う私はというと,実は2ちゃんねるあまり見ないんですが。
ああFFXIの掲示板見てたな。あれ2ちゃんねるなんだっけ。よくわかりません><

最終章の弾さんとの対談はキレキレですね。
2人合わせてIQいくらあるんだろ。
ちょっと気になったところを引用。

小飼 で,本当に怖いのは,「俺はここにいる」という欲を出さない人たち。2ちゃんねるにいる人たちは,これを書かずにはいられないという欲があるのでマシです。まぁ,そんな気持ちを持つ人って書き込みはするけど,自分へのフィードバックは期待してないんですけどね。
西村 「俺はここにいる」という欲を出さない人って,自分の周りに価値観を持たないで,どうでもよいと考えている人のことですよね。爆弾を持っていたら爆発させてもさせなくても,どちらでもいい人。
小飼 そう。そういう人は,コントロール不能です。

実にベタながら,「人が生きる動機」までネットに頼らないようにしたいものだと,まあそういうことを思ったりしました。

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2007年7月 1日 (日)

【書評】戦争民営化

午前中は外出せずに風呂入りながら読書。練習の一環としてやや速読気味に。

戦争民営化―10兆円ビジネスの全貌 Book 戦争民営化―10兆円ビジネスの全貌

著者:松本 利秋
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

1時間半ぐらいで読了。もすこし早くしてみようかな。

本来は「世界史と傭兵」とか「近代の戦争と傭兵」とか堅いタイトルになるべきところを,少しでも売れるようにとの思いでこのタイトルになったと思われます。ややすべり気味ですが。
歴史上の戦争における傭兵の占める位置や,イラク戦争に至るまでの近代戦争を傭兵という切り口で,データをふんだんに用いて切り取っている点は非常に読み応えがある。

しかし,それにしても,残念なことに,誤字が多い。

ざっと読んで気づいただけども約10箇所。
その中の一つがコレ。

本来ならば,暑い鉄板で周りを防護し,窓やフロントのガラスは防弾ガラスを施した警護専用車を使用するべきであるのに,

(185ページ)

バグダッドが暑いのはよく分かった(´_ゝ`)

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2007年5月13日 (日)

【書評】新聞社&電波利権(あるいはネットとアマチュア無線の話)

メディアに関する興味深い本を2冊。

新聞社―破綻したビジネスモデル Book 新聞社―破綻したビジネスモデル

著者:河内 孝
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

電波利権 Book 電波利権

著者:池田 信夫
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2冊を合わせて読むことで,戦後のメディアの実態がよく分かる。

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2007年5月 1日 (火)

ピタ・ゴラ・スイッチ♪その2

2巻も購入。これはすごい。

ピタゴラ装置 DVDブック2 DVD ピタゴラ装置 DVDブック2

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2007/04/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

1巻も買ったけど,2巻もますますパワーアップ。
エスプリの効いたw仕掛けがぎっしりつまってます。
やっぱり繰り返し見ました。面白いっす。

ところで巻末の佐藤雅彦氏のあとがきについてですが。

ピタゴラ装置が今や多少知られるようになったせいか,最近webや雑誌で,「ピタゴラ装置とはゴールドバーグマシンの一種で云々」というような解説風の文章をたまに見かけることがあります。そのたびに,私は小さな違和感を覚えずにはいられません。

タイトルは,「ビー玉は,ちっともうまく転がってくれない」
-想像の自由,現実の不自由-

ちなみにゴールドバーグマシンについてはこちら

ビー玉ひとつでさえ,思うように坂道を転がってくれないのです。

あちらは概念の表現,こちらは実際のものづくり。
似ているようで,目指すところがまったく違う。実際に作ってみると分かる。解決しなければならない山積みの問題との格闘です。
なるほど。見ている側にばかりいては忘れてしまいがちな大事なことですね。

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2007年3月19日 (月)

【書評】新しいお金

超重点区で法戦のまっただ中ではありますが,PASMO開始記念ということで書評。

新しいお金 電子マネー・ポイント・仮想通貨の大混戦が始まる Book 新しいお金 電子マネー・ポイント・仮想通貨の大混戦が始まる

著者:高野 雅晴
販売元:アスキー
Amazon.co.jpで詳細を確認する

鹿児島市内へ新幹線で行き帰りする際,往復のべ30分+数十分でさくっと読み終えることが出来た。
電子マネーという新しい経済の地平の,いよいよ役者が出揃おうとしている。

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2007年2月27日 (火)

【書評】イスラームの心

兵庫のジュンク堂で購入。
空港でのながーい待ち時間+機内でのひとときで読めてしまった。
表現は簡潔でも,内容の濃い本です。

Book イスラームの心

著者:黒田 寿郎
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

この本に一貫して繰り返し繰り返し書かれているように,私達は世界人口の20%を占めるこのイスラームという信仰について,あまりにも知らなさ過ぎる。それは時として,その信徒の暮らす国々の貧しさ,欧米的価値観と相容れない政治体制,そして一部の急進的な過激派の所業を通してしか,この宗教のプレゼンスを目にすることがないために,その誤解は今もって甚だしいものとなってしまっている。

早いうちに補足すべきことと思われるが,この本が書かれたのはイラン・イスラム革命が起こった直後の1980年。丁度,大橋巨泉が「世界まるごとハウマッチ」のオープニングジョークのコーナーで,「後継者はホメイニ(おめえに)決めた」という極寒のギャグを飛ばしている頃である。
巨泉氏の冗談の出来はともかくとして,イスラームという宗教の持つポテンシャルが今まさに花開こうとする期待に満ちた空気の中,著者の筆致も熱気に富んでいるが,この革命で震え上がったアメリカ他,欧米諸国による,陰に陽に加えられる妨害と,イスラーム信仰者自らの失敗の数々により,彼らの潜在能力は今もって潜在能力のままであり,911を例に出すまでもなく,絶望的なまでに進行してしまったイスラーム共同体の破壊と欧米との経済,文化の格差拡大を,果たして克服する道はこの宗教に残されているのか,これはぜひ著者の本をさらに読み込んで道を探したいと思う。

本書に話を戻すが,イスラム教に対する数々の偏見への徹底的な反論に始まって,その教義の基礎,信仰の実態,ムハンマドを開祖とするイスラム信仰者達の歴史,イスラーム文化の絶頂時代,欧米文明との相克,現代的価値観との違いとその秘めた可能性と,手取り足取りという言葉にふさわしい懇切丁寧な解説が,まさにイスラームの心を体現しているといって差し支えないではないか。

それにしても,開祖たるムハンマド死後のカリフ(指導者)の座をめぐる争いと,ウンマ(信仰者の組織)の迷走ぶりが,実に同情を禁じえない。
また,信仰者は自身の信仰を深めるとともに,同時に社会生活,世法の上でも十分に活躍すべきとの高邁な思想に基づき,聖職者の存在を認めず,政教一致の政治体制を敷くことになっているわけだが,同時にこれがイスラーム社会のアキレス腱でもあるわけで,殉教とはなにも自爆テロではなく日々刻々の生活における,克己的生活にあるわけだが,水は低きに流れるの言葉とおり,聖職者という地位が生まれそれはいつしか堕落し,その弱さが共同体を破滅に導いていってしまう悲しさは,歴史のそこかしこに見られる人間の性である。
ではどうしたらこの業を克服できるのだろうか。正しき信仰どこにありや,の感慨を深める次第である。

まとまりのないことを書いてしまったが,我々にとっても,もって他山の石とすべき教訓であろう。

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2007年2月22日 (木)

【書評?】ラテン語の世界

風邪なんとかなおりかけました。

思えばこのブログもいつの間にか1周年過ぎておりまして。
今後ともゆるめで頑張って行きたいと思います。

とりあえず熱にうなされながら読んでた本の紹介。

ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 Book ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産

著者:小林 標
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ラテン語と聞いて腰が引ける御仁もいるかと存じますが,熱の出た頭でも非常に読みやすく,楽しい本でした。

珍しく仕事の話をするが,以前市役所の公文書をわかりやすくする「手引き」の作成に携わったことがある。
試しにgoogleで「公文書 わかりやすい」と検索してみれば,その手の文書がずらずらと出てくる。
日本中のおびたたしい数の自治体が,地域差もそう考慮しなくていいこの手の業務を,バラバラに遂行していると考えただけでもorzとなってくるのだが・・・さらに悪いことに,日本語におけるカタカナ語の多さ,なかんずく公文書内におけるカタカナ語の改善も,手引きの中で触れずにはいられない問題となっているのだ。

公文書の中で,どうしてもカタカナ語でなければ正確な意味を表記できない概念がある。
そうした場合,日本語は「外来語」として,元の言葉の音をカタカナにした言葉を用いてもいいことになっている。
そして,読むものの大多数はどういう意味なんだか分からない。

かくして,分かりにくい外来語は,より近い概念の日本語で言い換えましょうという結論になり,
・・・・・言い換える単語のリスト化が始まる。

全てとは言わないが,大多数の手引きで触れられているのが,国立国語研究所の「外来語言い換え提案・総集編」(PDFファイル)であり,ここに挙げられているカタカナ語は,提案内で示されている日本語(?)に置き換えて分かりやすくしましょう。ということになる。

それにしても,「アクセス」accessと「アクセシビリティ」accesibilityを別々の項目で取り上げ,それぞれに「接続」「利用しやすさ」という語を割り当てるという・・・・いやこれって,同じ単語の活用形じゃないかと,元の単語1つ知ってればいいんじゃないか別々に覚えたらそれだけ脳内メモリ食うだろうが何かアプローチのしかたおかしくないか?とこっちの脳内がオーバーフローを起こしてしまった○| ̄|_
・・・本当に何と言うか,審議会の先生方の努力に涙すら禁じえない。
正直,これらの資料と格闘しながらの「手引き」作成は,モチベーションを維持するのが非常に厳しかったというか,なんというかもう,察して欲しい(;´д⊂)

これ以上悲観的な話をしても仕方ない。
そろそろラテン語の話に戻ろう。

端的に言えば,ラテン語発生時にあるはずのなかった「インターネット」という言葉も,
ラテン語のルールから導き出して,「interrete」という言葉を作成することができる。(282p)
そう,あたかもキケロの昔から存在していたかのように。
散文詩人も,科学者も,聖職者も,自分の必要に応じて縦横無尽に使いこなせる,ラテン語とはこのように非常に優れたデバイスであったと同時に,言語のなりたちそのものを定義しえたメタ言語だからこそ,今においても,誰も語る者がいなくなったとしても,我々日本人も含めて,その影響力から逃れられない,そういう地位を占めるに至った言語は世界に類を見ない。

また,コアとなる概念(たとえばag-(108pp.)「前へ駆り立てる,押す」)から様々に派生させて,
agility,aggressive,agitateあるいはaction,active,actorなどの単語が生まれてくる。
(丁度漢字の「偏」が字の属性を,「つくり」が意味及び読み方を示すのと同じような関係性だが,微妙に違うかも)
これらのルールは驚くほど単純で,これさえ分かっていれば初めて見る単語のおおよその意味が分かるし,そのルールを活用して新たな単語を作成することすらも可能である。
ハッキリ言おう,横文字は恐くなくなる!m9(゜Д゜)どぎゃーん

と,そこで外来語言い換えなわけだが・・・どうでしょう,御年配の皆様にラテン語の活用を知れと言っても,ちょっと厳しいだろうか・・・少なくともアクセスとアクセシビリティは同じだと思えないと・・・

そういえば,日本の英語教育で,デキる先生は単語を分解してcon-は共同してやる何かだとか,in-は反対の意味だぞとか教えていると思うのだけど,(プロッフェッショナルでもやってましたな)何ていうか,あまり根本的な部分から考えたがらない傾向があるのかな日本人は,とか熱も下がりきらないような体調で書いてもこのような切れ味の悪い文章になるといういい見本ができたという話。

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2007年2月 7日 (水)

年末年始オススメ本ベスト3

年末年始読んだ本のベスト3ということで書いときます。

ここ最近色々なブログで書評とか見るものだから,アマゾン様に貢ぎまくり。あるいは近所の書店で新書つかみどり。
さらにこの年末年始は,電車や飛行機,バスに乗ったりする機会が多かったものだから,わりと多目の本を読めた気がします。

なにせ揺れまくるバスの中で手ブレしまくりの本を読んでも,全然酔わない。
なぜなら私の目は強度の乱視で,日本の光学技術の粋を尽くした乱視矯正用眼鏡をかけても,補正しきれないほどのひどさ故,私の見る世界は常に分身魔球。
センターフライが取れなくなる副作用がありますが,読書の場合は対象の座標を厳密に捕捉する必要がないので,これはこれでたいへん重宝しております。

閑話休題。

横道にそれましたが,私的にいけてる本ベスト3をお届けします。
まあ書評を書くにはちょっと旬を過ぎた本を,まとめてお蔵出しとかそういう意味合いも以下略。
興味をもたれたらリンクをクリックしてお買い求めください。
たまにはアフィリエイトにポイントがつく瞬間を見てみたいものd

-第3位-

下流喰い―消費者金融の実態 Book 下流喰い―消費者金融の実態

著者:須田 慎一郎
販売元:筑摩書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

アイフル・武富士などの消費者金融は,一時期あまりに稼ぎすぎていたこともあり,今凄い勢いで退潮していますが,この先どうなるか予断を許さない部分があります。
自殺者まで出る取立てというものがどういうものか,また本質的に金融とは何か,読んでおいて損はない本です。

-第2位-

ウェブ人間論 Book ウェブ人間論

著者:梅田 望夫,平野 啓一郎
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

非常に刺激的な対談本。
価値観というか,世界を解釈するコーディングが決定的に違い,議論はすれちがいつつも激しく火花を散らすのだが,それが非常に心地いい。両者とも根はポジティブという点で一致しており,ネットを通して人間と社会はどう変化していくのか,自分なりに考える手がかりになります。
あと,グーグル社員の正義観というか,倫理観についての話が特筆です。スターウォーズです。

-そして第1位。-

インテリジェンス 武器なき戦争 Book インテリジェンス 武器なき戦争

著者:手嶋 龍一,佐藤 優
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

あの911を伝えつづけた「ワシントン支局の手嶋さん」と,
「日本のラスプーチン」佐藤氏の対談。
本物の外交戦,情報戦の実態が当の本人たちから語られる。
思うに諜報の世界の住人というのは,なろうと思ってなるものではなく,知らず知らずのうちになっているものなのではないだろうか。
知りたいと思うことに,自分の力で真っ直ぐ突き進んでいくうちに,いつしか情報網とリスペクトが集まり,組織にとって欠かすことのできない,知る人ぞ知る外交のキーマンになっていく。
なにしろ個人の能力,人格以上の資産はない,というのがこの分野に限らず,実戦部隊というものに共通する特徴でしょう。

探究心,畏るべし。好奇心,侮るべからず。

高い教養があり,必要に応じて嘘は言うけれど,歴史に対する敬虔さを忘れない。
上司や議員から疎まれようと,本当に自分を必要とする人の信頼が得られればそれでいい。
そういったインテリジェンスの王道を貫く佐藤氏の姿勢に,ある種のダンディズムすら感じられます。

(まったくの余談ですが,学会も世界中にネットワークを持ち,中国とソ連の間を取り持ったこともあるぐらいだから,やはりそれなりの情報が集まって来るのかもしれませんね。)

外交戦の極意と情報を扱う者,また官僚の心構えというものが入魂される,すごい本です。

以上年末年始のベスト3でした。

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2007年1月 4日 (木)

ピタ・ゴラ・スイッチ♪

東京でみかけてグッときたので帰郷後購入。

ピタゴラ装置DVDブック1 DVD ピタゴラ装置DVDブック1

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2006/12/01
Amazon.co.jpで詳細を確認する

シンプル、かわいい、意外な動き。装置のセンスも最高です。
フィニッシュの「ピタ・ゴラ・スイッチ♪」のロゴの出方がとても気持ちいい。
値段が安い上に時間も19分とサクッと気楽に見られます。
私が子供なら1日中見てるかもなー。
実際今日買ってきてから2回リピートしてしまいました。
非常にクセになる楽しさですな。

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2006年11月30日 (木)

【書評】Dr.瀬戸上の離島診療所日記&先生助けて!Dr.コトーを探して

これは、Dr.コトーのモデルとなった実在の医師の物語。

Dr.コトーのモデル Dr.瀬戸上の離島診療所日記 Book Dr.コトーのモデル Dr.瀬戸上の離島診療所日記

著者:瀬戸上 健二郎
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

鹿児島市から西へ車で30分、さらに串木野港からフェリーで約2時間、鹿児島県の西海に浮かぶ甑島(こしきじま)は、黒潮の流れを受けて南北に細長く、天然の海の幸に恵まれ、古くより港ごとに集落を持ち、風光明媚な自然と手つかずの絶景が各所に見られる、まさに秘境といった雰囲気のある離島である。
(余談ですが、形的に「大戦略」の「アイランドキャンペーン」に似てます。って誰もわからないかw実際の島は本当に平和で穏やかな島です。)

本書は1978年から、28年の長きにわたり、甑列島の南端の下甑村(現在は薩摩川内市下甑町)の手打(てうち)診療所で離島医療に尽力し、離島のハンデに屈せず数々の手術を成し遂げて、離島医療の魁を走ってきた日々の積み重ねが書かれている。

なにせ手術の内容が、胃ガン、肺ガンに始まって各種のガンから子宮筋腫、帝王切開、ヘルニア手術と、マンガ内のDr.コトーもかくやと思えるほど、およそ不可能な手術が無いと思えるレパートリーである。(193p)
赴任してきた当初は、地元の住民の方が離島でそんな手術ができるわけがないと、早々に本土に渡って手術を受けていたのだが、少しずつ人々の信頼を得て、一つ一つの手術を成功させ、設備を整え、献血台帳を作り、急患を救い続けていくうちに、気がつけばあらゆる手術が地元で可能になるという環境が実現したのである。
地元で手術ができるというだけでも、どれほど心強いことだろうか。医師が近くにいない、手術ができないということは、盲腸になるだけで、石切り場から落下して内臓を損傷するだけで、下手したら死に至る環境なのである。数百メートル歩けば病院に突き当たる街の中にいる我々には想像もつかない環境だ。そんな状況を何とかしたいと、最初半年だけという約束から、鹿児島の大病院の医局長の地位を離れて以来、離島の医療環境の充実に心血を注いでこられた先生の情熱にはただただ感服するのみである。

また、本書に書かれている甑島の人々の素朴な人柄も本当に味わい深い。前述のように、いざというときに頼れるのは自分の生命力のみという環境にいる人々は、生きることや命に対しても真摯な姿勢であることがよく分かる。夜中に胃穿孔を起こして腹に激痛が走っても、急患の電話を夜が明ける6時までじっと耐え忍んでからかける人。先生に草鞋を手作りで作って手渡すおじいさん、99%助からないインオペのガンから奇跡の回復を見せる人。そしてそのような人々に暖かい視線を送る瀬戸上医師の視線を、文章の端々から感じることができる。

そういえば先日のエントリで、離島でそれほど次から次と重篤な病気に遭うことはないだろうとか書いてしまった私だが、前言を撤回したい。この本に出てくる患者の症例は、想像以上に多様でまさに緊張の連続である。ありとあらゆる病気に一人で立ち向かわねばならない離島の医師の、激闘の日々と言って差し支えない生き様がここに書かれている。
まさに医師と患者が、手に手を取って作り上げた命の砦、不可能を可能にした物語は必読と言って良い。

もう一冊、瀬戸上医師を招聘した、下甑村の西課長の書かれた本も併せてお勧めしたい。

先生助けて!―Dr.コトーをさがして Book 先生助けて!―Dr.コトーをさがして

著者:西 秀人
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Dr.コトー前史というべき、瀬戸上医師が赴任してくるまでの地元の民生課長の医師招聘の奮闘が描かれている。
台湾から招聘した医師の物語や、甑島を文字通り終の棲家とした歯科医師の物語、赴任期間の長い医師や短い医師、さまざまありながら、その中で瀬戸上医師がいかに稀有な存在であるかが実感できるのではないだろうか。
2冊を合わせて読めば、離島医療の実態、さらに甑島の人々の人柄や気候などがきっと実感していただけるだろう。

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最後に、写真は甑島の北方、上甑島の何気ない林道の途中にある、地元の役場職員に教えていただいた「ヘゴ」の自生地の北限らしい。
見ての通り、熱帯でも亜熱帯でもない独特の植生の、急な山のすぐ奥に海が見える、険しいが変化に富んだ、手付かずの自然である。
私は釣りはしないのだけど、釣り人と魚好きにとってはまさに天国とのこと。興味のある方はぜひ一度足をお運びください。(いちおう宣伝)

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2006年11月14日 (火)

【書評】犯罪は「この場所」で起こる

腰痛ですがなんとか1日しのぎました。
というわけで読書メモ的ですが書評をば。

犯罪は「この場所」で起こる Book 犯罪は「この場所」で起こる

著者:小宮 信夫
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

世界一安全な都市となることに成功したニューヨーク。
犯罪発生率が不気味な増加を続ける日本。
果たして両者の犯罪対策にはどのような違いがあるのか。
犯罪抑制に、本当に特効薬はあるのか。

この疑問に対して、本書は思いのほか具体的な対策がきちんと書いてあって、それらがどういう価値観のもとに行われているか(ここが大事)が実に明確かつ体系的に書かれていて期待以上だった。

例えば、民間レベルの防犯対策で最も多く目にするのが、いわゆる「ご近所の底力」などで繰り広げられるあの団塊チックなパトロールなのだが、果たしてアレは何のためにやっているのか、どれほどの頻度・人員で行えばいいのか、パトロールしながら一体何を見ていればいいのか、これで本当に犯罪は減るのか。やってる本人も半信半疑なヒトが多くないだろうか?
これらの疑問にも明確に答えているので、民間パトロールをオーガナイズしたり、地区コミュニティの形成に携わる市職員、犯罪抑止の戦略を立案する地域の警察関係者、果ては犯罪リスクを地価に盛り込んでビジネスを展開したい不動産屋さんまで!全ての方にとって必読の書であると言える。

この本によれば、犯罪者とそうでない人間との間には、本質的な違いは無い。
犯罪の原因を本人の異常性に求める旧来の犯罪観から脱却し、社会・環境・そして対象の脆弱性が複合して、ある一定の閾値を起こることによって起こるものであると犯罪原因を再定義した上で、これらの要因を個別に取り除いて、個々人をなるべく犯罪から遠ざけることを旨とする、非常に合理的な考え方のもとに、数々の対策法を提案しているのである。

有名な「割れ窓理論」による落書きの徹底的な消去、パトロールを通したコミュニティの再生、さらに地域安全マップを通して学習する子供たちが自覚的に危険を把握し、危険を避けることを学び、地域に愛着を持つまでになる姿には感動さえ覚えてしまう。

この本に書かれている「犯罪」を「いじめ」に置き換えて準用すればなかなかいい処方箋になるのではないか、と淡い期待を抱いてもいいのではないか。誰でもいじめるために学校に来てるわけではなかろうに。むしろ苛める人間も自分の中の誘惑に負けてしまっている点で犯罪者と大差ないと考える。大事なのは苛めに走る要因を一つでも多く取り除くことだ。

また同時に、パトロールや監視カメラ等の対策について、使い方を誤れば、いやむしろ「何のために」を忘れてしまえば逆に弊害を与えてしまう部分についてもしっかりと言及している。犯罪者を見つけて狩るのではなく、普通の人々をなるべく犯罪から遠ざける/犯罪を起こさせないという観点で効果的に組み合わせることが大事ですよ、と理知的かつ優しく説明しているのだ。

最後に、本書は日本と外国の比較が多く、どうしても「ダメな日本の例」と「うまくいった外国」の構図が目立ってしまって、実際事実だけど厳しいなあ、と感じてしまうのだが、それは表面的な問題であり、何より違うのは、この本では明確には書いてないが、各種のアイディアは現場の最前線にいる人間の発意で始められ、ITを有効に駆使し、trial and errorを繰り返しながら確実に成果を上げていき、それらの行動が明確な一つの価値観に基づいて行われているからこそ成功するという点だ。まあ何と言うか、素直にうらやましい。

さらに飛躍を承知で言わせていただければ、理論、戦略、行動の中で一番大事なのが「行動」なんだよ、と暗に訴えかけているようでならない。
もう一度自分の周囲を見回して欲しい。自分が犯罪者にならない、自分や妻子を犯罪の被害にあわせたくない、あの甥っ子を犯罪者にさせない、あの男子部員を犯罪者にさせない・・・私は、そして皆は確実にコミュニティの一員なのだ。

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2006年10月10日 (火)

【書評】若者はなぜ3年で辞めるのか?

答えは,老人達のエゴ。
そして,これから老人になろうとする人々のエゴ。



若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来


Book

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来


著者:城 繁幸

販売元:光文社

Amazon.co.jpで詳細を確認する

この本にも書かれているが,私(30歳)より少し上の,35~40歳の人たちが特に気の毒な感じである。
私の勤めている役所で言うと,少なくともパソコンが1人1台に配布されるなど,就職する際に考えもしなかっただろうと思う。とにかく仕事に必要とされる技能がここ10年で劇的に変わった。
これからワープロに替わって,パソコンがメインになりますよ!と先輩に言っても「はあ?」と言われていたのが,たかだか6年前のことである。そこからついていけなくなった人々のストレスたるや相当なものであろう。
単に年功序列が崩壊したのみならず,時代のキャズムにまともに呑み込まれた年代である。
入社だけなら,バブル期の大量採用で楽勝だったのに,波乱に富んでいるの一言では済まない。

ともかく,そこから一回り後に就職することとなった私等においては,就職においてはただ悲惨の一言だった。
大学の法学部卒で,内定が取れた者がだいたい4人に1人だっただろうか。
100人が受験した市役所の試験で,合格した3人の中になんとか這入れたわけだが,とにかく急場を凌ぐために必死で逃げ込んだシェルターと言うべき部分が大きい。

そういえば,試験のときに書いた小論文のテーマが「高齢者と若年層の対立」だったなあ(´・ω・`)
実際には住む世界が全く違う故に対立すら表面化しないわけだが,これはまた別の話。

そうやって就職した年代にとってこれから最も難儀な「仕事」は,働く動機の確保である。

辞めようと思えばいつでも辞められるし,役職が上がることに対して大した夢も無い。
組織のために自己を犠牲にするという忠誠心が果たして現在の若者にどれだけ残っているだろうか。
ただ役所はある程度Mなところが無いと務まりませんがw

就職してから大変な35歳,就職するまでにひどい思いをした30歳,それぞれの年代に困難さを抱えているわけだが,なんとか「充実した仕事をしたい」という欲求のもとに,社会を変えていくことはできないだろうか。

同じような感じで40歳,50歳,そして定年間際の人々は,なんとか年功序列のルールを維持し,最後まで完走できるものなら完走して,退職金をもらって逃げ延びることにエネルギーの大半を費やしている。
いずれにしても,組織で何かを成そうとするよりも,組織が自分に何をしてくれるか(そのために組織を維持することが何よりの目的となっている)をひたすら望み,自分のエゴに汲々としている。この点も年功序列が残した弊害と言えるのではないだろうか。

全ての年代の人々が似たような煩悶を抱えながら,パラレルな世界が林立し,けっして交わり,対話することがない現状に苛立ちを覚えずにいられない。

本書がどうしても現代社会の困難さと問題点の羅列が続き,組織から飛び出す者,組織に裏切られる者,組織を立ち上げる者,組織にしがみつく者それぞれの成り行きを書いているが,ではどうすればいいかというという特効薬を提示するとなると非常に難しい。本書はやはり若者の政治への参加,自己の確立,そして教育の改革という点に収斂している。

逆に言えば,それほどまでに日本人に自立心,自律心が養われていないことになるのだが,こういうファンダメンタルな話になると,またどうしても宗教の話をしたくなるが,もう少し社会制度の上でいじれる点がいろいろありそうな気がする。

少なくとも労働基準法に書いてあるとおりの労働時間,採用ルール,休暇制度を遵守するだけで,労働環境は今より大分まともになると思うのだが,取り締まる側が及び腰なのか,周りを見回しても休めないのが当たり前な職場がそこらじゅうにある。私のヨメさんが勤めていた病院の看護師の待遇などを書いてみたくもあるが,この件は長くなりそうなので機会があれば改めて書きたい。

ともかく,労働基準法の保障する労働環境が死文化しているのは,特に形骸化した労働組合,休暇申請を出せない職員一人一人の責任を指摘するべきであろう。

法の上に眠る者は救われない。

やりがいを持って働ける職場の実現のためには,自分からそうするための具体的な行動が必要なんじゃないでしょうか。

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