2011年7月31日 (日)

[書評]伊藤博文の青年時代

言わずと知れた初代総理大臣、そして韓国人青年に暗殺されたという通り一遍の知識しかなかったが、幕末から明治にかけての青年時代をどう生きたかという視点は面白かった。

西郷、大久保、木戸、岩倉といった錚々たる幕末のスターからしてみれば伊藤は「遅れてきた世代」であるが、そうした先達から薫陶を受け、2度に渡る海外遊学を経て、政治的にも人物的にも偉人と呼ばれるようになるまでの過程が書かれている。

維新の嵐が過ぎ去っても多難な時代、伊藤は次々と時代の激流に立ち向かう。

革命というものは、こういうことである。幕閣の老中や天領の代官が一斉にいなくなるのだから、その後任をすぐさま決めなければならず、革命の志士やその同調者の中からこれという人材でその穴を埋めていくのだ。新政府の官職は、そのころめまぐるしく変わっており、伊藤の役職名も次々と変わっていく、まるで夢のようなことが次々と起こっていくのだ(123ページ)

当時の人々の言葉もそのまま取り入れている部分があり、言葉遣いもそこそこ古めかしく、味わいがいがある。

自分自身も「遅れてきた世代」の感があるのだが、どう自分を鍛えればいいか考える一助になったように思う。

伊藤博文の青年時代――欧米体験から何を学んだか(祥伝社新書241) Book 伊藤博文の青年時代――欧米体験から何を学んだか(祥伝社新書241)

著者:泉 三郎
販売元:祥伝社
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2009年7月 2日 (木)

最近の読書

とりあえずcrossreviewに投稿したものを転載っと。

白川静 漢字の世界観 (平凡社新書) Book 白川静 漢字の世界観 (平凡社新書)

著者:松岡 正剛
販売元:平凡社
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6点

      

実は7割ぐらいまで進んで読むのが止まってしまった。 コードとしての文字と、呪術的機能を宿した文字とダブルの世界観に戸惑う。果たして一度成立した文字から真正な由来というのは、本当に特定できるものなのか?


組織を変える「仕掛け」 (光文社新書) Book 組織を変える「仕掛け」 (光文社新書)

著者:高間邦男
販売元:光文社
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7点

硬直した組織をストレッチするためのアプローチがたくさん。 機会があればいろいろな組織に応用できるかも。 ちょっぴりスピリチュアルな部分もあったり。


相続はおそろしい (幻冬舎新書) Book 相続はおそろしい (幻冬舎新書)

著者:平林 亮子
販売元:幻冬舎
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8点

      

購入直後にMJ氏の死去の報。なんとタイムリーな。 実例に基づいた生々しい相続トラブル集。これから団塊世代が凄いことになるのが手に取るよう。 もっと死について真剣に考えるべき。便利なワークシート付き。


レアメタル超入門 (幻冬舎新書) Book レアメタル超入門 (幻冬舎新書)

著者:中村 繁夫
販売元:幻冬舎
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 8点

ジェットコースター化しつつある世界経済のさらに先をいく世界の資源市場。 中国が世界中の鉱山を買いあさっているように、もはや安全保障上の問題。 人によって相性の合う素材があるというフレーズが味わい深い。


文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画 Book 文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画

著者:深見 嘉明
販売元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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7点

さくっと読んで、少しずつ実践中。 だけどどうしてもFirefoxのアドオンを導入するところまでで、本書の示すように大量のweb情報を処理できるまでには至っていない。精進が足りないのか。

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2009年3月26日 (木)

【読書】脱税のススメ

脱税のススメ -改訂版- Book 脱税のススメ -改訂版-

著者:大村 大次郎
販売元:彩図社
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新しい部署が税金関係なので参考までにと購入。
私の担当は市税だけど、こっちはほぼ100%国税。
私の本選びのボケぶりはともかく、中身は決してタイトル負けしていない濃い内容。

Images
領収書を切らずに売り上げをポケットに入れる(チャップリン「独裁者」より)みたいな微笑ましい?手口から、タックスヘイブンを駆使したグレーゾーンギリギリの華麗な脱税の手口、ライブドア事件等の最新情報までを網羅しており、読むだけでも楽しめる。

単なる犯罪ドキュメントにとどまらないのも本書の優れたところで、丁度麻雀の捨て牌を見れば手の内が分かるように、具体的な抜け道を示すことで、日本の税制の不備も指摘している。

サラリーマンの大部分は天引きで知らぬ間に税金を取られ、方や自営業者の所得は把握しずらくグレーな部分が多くても放置されたままが多い。と、全体的に日本は税制後進国であり問題点が非常に多いという指摘には非常に説得力がある。

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2009年3月11日 (水)

【読書】池田大作の事

池田大作の事 Book 池田大作の事

著者:千葉 隆
販売元:飛鳥新社
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ちょっと紛らわしいタイトルだが、ようするに「事」とは池田先生の事実、実践のこと(261p)。
学会批判本かと買って読んでしまった方、残念でした。お察し申し上げます。
私も最初はその手の本かと思ったが、何かピンと来るものがあったのでパラパラとめくって、レジへ直行した。

それはともかく、いち学会員として(それも大会社の元社長さんらしい)先生や組織と向き合い、体験してきた実像を、ことさらに意地悪な質問に対して対話形式で語っていく。

なにより一個人として名を出して演繹的、具体的に述べている点が、従前の学会本と一味違うな、という感じがした。

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2008年7月13日 (日)

【crossreview】力士の世界

力士の世界 (文春新書 603) (文春新書 603) Book 力士の世界 (文春新書 603) (文春新書 603)

著者:33代木村庄之助
販売元:文藝春秋
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8点

行司という立場から長年携わってきた相撲界の現在を語る。独特のしきたりの数々も興味深いが、師弟関係の大切さ、一門の絆、地道な稽古の積み重ねがどんな手段より強い関取を作るという力強いメッセージを感じた。

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2008年7月 9日 (水)

【crossreview】高校野球「裏」ビジネス

高校野球「裏」ビジネス (ちくま新書 711) Book 高校野球「裏」ビジネス (ちくま新書 711)

著者:軍司 貞則
販売元:筑摩書房
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高校野球の諸問題について、毎年のようにマスコミで取り上げられては立ち消えになってしまう。野球はいまや学校の生存競争の上で欠かせないツールとなっているにも関わらず、相変わらずのタテ社会から抜け出せない。

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【crossreview】賭ける魂

賭ける魂 (講談社現代新書 1942) (講談社現代新書 1942) Book 賭ける魂 (講談社現代新書 1942) (講談社現代新書 1942)

著者:植島 啓司
販売元:講談社
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人は何故賭けるのか。不確実な未来を信じることから人生そのものが見える。 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。一か八かに賭けるスリルを通して生きる喜び、人生の意味まで視野に収めたスリリングな論が展開される。

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2008年6月 2日 (月)

【読書】科学する麻雀

科学する麻雀 Book 科学する麻雀

著者:とつげき東北
販売元:講談社
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たしか1年弱前に買ったような気がするけど、先週の週刊アスキーに載っていたり、書評ブログやはてブで見かけたりもして思いもよらぬリバイバルの様子。

有名な "情報考学 Passion for the future" さんでも取り上げられています

一読して衝撃を受けた。
東風荘の実戦データから導き出された冷徹な麻雀の真実。
今までの文学的麻雀論を完膚なきまでに破折し、今示せる明確な「麻雀の答え」を出すことに成功している。

詳しい理論については買って読んでほしいというのが正直なところで、後半になるとじゃんじゃん数式も出てくるので、私の数学の知識ではお手上げというか説明しようもない所もあるけど、その辺は流して読んでも十分理解できる。
とりあえず、

・先制リーチは圧倒的に有利
・手変わりを待つな
・裏筋ソバ牌は危険はウソ
・当たり牌は読むだけ無駄
・数理的検証もせずに流れとか語るな

という刺激的な答えが、数理的に明確に示されているのだ。

相手の表情読みや三味線の通用しないネット麻雀では絶大な効果を発揮するだろう。
この理論を皆知っているという前提で打つとどうなるのか、麻雀というゲームそのものの変容を預言した書といえるかもしれない。

私はというと、ネット麻雀もリアルで対面式の麻雀もどちらも大好き。
あと、麻雀はツキがない時にどう打ちまわすかが楽しいんだよなあ。
勢いのある相手の打ち気をそいで、流局に持って行くのが好きです。
弱気ですね。ええ弱気ですとも。

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2008年6月 1日 (日)

【読書】累犯障害者

創価王道さんの紹介で購入。

累犯障害者 Book 累犯障害者

著者:山本 譲司
販売元:新潮社
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重い、とにかく重い、どうしようもない現実が目の前に繰り広げられる。
我々が今すべきことは、とにかくこの本を読んで、現実の一端でも知ること。

話せること、聞こえることが人間にとって当然の機能だという浅はかな思い込み。
自分と同じ国に住みながら、互いの存在を感じようとしない心の貧しさ。
残酷なまでの無関心。

そんな社会が、繰り返し刑務所に入り、社会の底辺から決して這い上がることのできない障害者達を作り上げている。

そんな始まりも終わりもない絶望のループからどうやって障害者達を救えばいいのか。

日本の制度的にもおかしいところは非常に多い。
かつて民主党の議員として国会に送られ、後に服役して受刑者となった著者からしか見えない視点が新鮮で非常に納得できる。

繰り返しになるが、この現実を知らずして、福祉も、政治も、刑罰も決して語ってはならない。

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2008年5月 4日 (日)

温泉とグラミンフォン(一応書評)

昼から近郊の温泉場へ。
ゴールデンウィークであったが、予想どおり、普段に少し毛が生えた程度の人出。
鄙びきって相当に年季の入った旅館の、部屋全体が気持ち奥のほうに傾いている部屋に、昼1時に入り、お弁当食べて温泉に入り、本を読み、テレビつけず(携帯は圏外)、ラジオ聞かず(電波届かない)、温泉に入り、本を読み、昼寝し、温泉に(ry

ヨメさんと2人で6時ごろまで滞在して、おばあちゃんに2000円を払う。
領収書は出ない。
正直異常な安さだと思う。もはや不当利得の世界。

以前もブログにちらっと書いたと思うけど、再加熱する必要のない十分に高熱の源泉が近くからそのまま湯船に流れ込み、贅沢にもかけ流しされている。
しかも、そこそこの広さの温泉が貸し切り状態。
なんと贅沢な。

そういえば何かの本で、日本のレジャー産業は温泉のせいでダメになったと読んだことがある。
確かにこれほどクオリティの高い温泉があれば、何も無理してラスベガスのように頭をひねって娯楽を考えないで済むもの。
旅館を建て、風呂を用意していれば自然に客が訪れる。
別に温泉地で商売している皆様が努力を怠っているとは言わないけど、このレベルの娯楽をこの価格で享受できるというのがどうにも不自然で頭を抱えてしまった。どう考えても7000円ぐらいはかかるような気がしてならない。払わない分のお金はどこに行ってしまうのだろう。

そんな中読んだ本が、バングラデシュで携帯電話事業を成功させた、グラミンフォンの話。

グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ] Book グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]

著者:ニコラス サリバン
販売元:英治出版
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バングラデシュという国は、本来平地がちで土壌も肥沃な上、国民も勤勉に努力する、豊かになる可能性を十分に秘めた国であるはずだった。

そんな国が長年世界の貧困国の筆頭にあげられ、世界から忘れ去られたままでいたのだが、情熱に満ちた起業家が携帯電話ビジネスを立ち上げ、ピラミッドの底辺にいる人々に携帯電話という情報交換ツールを持たせ、面白いように生産性を上げ、貧困脱出の糸口を作り上げた物語で、今の世界に起こっている貧困克服の動きや、有名なグラミン銀行の仕組みも理解でき、また単純にビジネスの成功譚としても痛快に楽しむことができる。

ありきたりな言い方になるが、人間一人ひとりの可能性というものについて希望に満ちた前向きなエネルギーを感じることができた。

1日の所得が数ドルという貧困国と日本とでは、携帯電話が及ぼす意味合いやインパクトといったものはもちろん大きく違ってくるが、「つながることが生産性である」という信念を実行に移したそのエネルギーを、どうやって価値創造につなげられるか、ゆっくりと熱く考えてみたい。温泉だけに。

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